本記事は複合材料力学の入門者におすすめしたい書籍を紹介します。
対象読者
- これから複合材料の基礎を学びたい方
- とくに、複合材料力学について学びたい方
複合材料力学の入門書。厳選3冊!!
本サイトでも、複合材料の入口には立てますが、しっかり力学などを学ぼうと思ったら、書籍を使って勉強することは不可欠です。わたしが実際に使って勉強していた書籍を3冊、紹介したいと思います。
古い本ではありますが、現在も必要に応じて見返すことがあり、非常に有用な本ばかりです。ぜひ参考にしていただけたらと思います。
ハイブリッド複合材料
いきなりハイブリッドかよ、と思われるかもしれませんが、ご心配なく。ハイブリッドでない複合材料についても、材料特性、プリプレグ積層体の力学、成形加工方法などについて、詳しく記載されております。
こちらが目次です。
第1章 総論
第2章 ハイブリッド基材
第3章 成形と加工
第4章 ハイブリッドの力学
第5章 ハイブリッドの諸特性
第6章 ハイブリッド複合材料の応用
第7章 金属基ハイブリッドとスーパーハイブリッド
第8章 軟質軽量心材をもつサンドイッチ材の力学
第9章 ハイブリッド複合材料の展望と課題
ハイブリッドと繰り返し記載があり、ここでは例えばガラス繊維と炭素繊維の混合材料や、ガラス繊維プリプレグと炭素繊維プリプレグの積層体などを意味しています。とはいえ、特にハイブリッドでなくても使える理論ばかりですので、ハイブリッド用途が目的でなくても十分参考になります。
もちろん、今後マルチマテリアル化が進む中で、CFRPと何かのハイブリッドというのは活用が進むと予想されますので、ハイブリッド材料の諸特性も学ぶ事自体にもメリットがあります。
入門 複合材料の力学
こちらは、日本複合材料学会監修の入門書です。主には、プリプレグの積層体の積層体理論を取り扱っています。ページ数も少なく、文字も大きいので読みやすく、まさに入門者向けといった本です。
こちらが目次です。
第1章 序論
第2章 複合材料のための力学基礎
第3章 素材の力学特性と複合則
第4章 積層体の力学
第5章 複合材料の損傷・破壊に関する力学
第6章 複合材料と構造力学
付録1 はりの曲げ理論の基礎
付録2 平板の問題の基礎
おわかりいただけると思いますが、ほぼ積層体の解説です。しかし、複合材料の基礎はプリプレグ、そして積層体です。この入門書により、積層体理論、一方向材の破壊について基本的な考え方をしっかり学ぶことができます。
しかしながら、2021年3月現在Amazonや楽天での取り扱いはなされていないようですので、代わりに成り得るこちら参考書も紹介します。
こちらが目次です。数学的なハードルが、”入門 複合材料の力学” 含む他の本よりもかなり高いと思います。その代わり、基本的な力学だけでなく、粘弾性の取り扱い、ランダム繊維の力学など、他の参考書ではあまり記載のないようなところまで、しっかり学べます。
第1章 力学の基礎
第2章 球状介在物の等価剛性
第3章 等価剛性:円柱状および積層状の等価剛性
第4章 等価剛性の上下界
第5章 積層板
第6章 応力解析,強度,設計
第7章 波の伝搬
第8章 非弾性および非線形効果
第9章 有効熱特性
複合材料入門
私が実際にバイブルとしていたのは、D・ハル著の”複合材料入門”という、1983年に出版されていた本で、こちらとは表紙や内容が若が異なるものです。現在は手に入りにくいので改訂版を紹介したいと思います。
こちらの目次は、手元にある初版のものですので、改訂版とは異なるかもしれません。が、大きくは変わらないはずです。
第1章 序論
第2章 繊維とマトリックス
第3章 繊維ーマトリックス界面
第4章 幾何学的観点
第5章 弾性特性
第6章 積層理論
第7章 1方向単層板の強度
第8章 積層材の強度
第9章 短繊維強化複合材料の強度
第10章 複合材料に関する話題
改訂版といってもかなり古いものですので、最新の技術を学びたい方は興味が薄いかもしれません。しかし、現在見ても参考になるほど、完成度の高い入門書であると思います。界面の考え方や破壊の考え方については、現在も昔も大きくは変わっておりません。
もちろん、上の2つの書籍と被る内容もありますので、複合材料のことを初期から学びたいというマニアックな方にとくにお勧めしたいです。本を探すのも一苦労です。
最後に
実際現場で必要なのは、成形加工の知識であることが多いですが、力学の基礎力を挙げることで成形加工や設計力の幅も広がるのではと思います。基礎をしっかり身につけるために、参考にしていただけたら幸いです。
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